色つきTV批評・バックナンバー

1997.11.22.

どうぶつ奇想天外(TBS!)

いまどき貴重な科学番組と思っていたのだが、やっぱりTBSだった。
おさるさんの疲労を「気」で癒すのだそうである。回答者の一人が床にはいつくばって「気」の治療とかを受け、肩が軽くなったと言って起き上がるのは、いわば○○商法の一種ですな。そう言えば出演者の1人某氏は他の番組で(少なくとも私の聞き及ぶ範囲での意見では)あやしげな医療情報もどきを流しているお方であった。
USAの動物病院で癌の動物が最先端の医療処置を受けて(人間でさえ治療に制限がある今の日本の制度と比較して、一言いいたいところだが)回復したのを、「奇跡」であると主張するのも、同じ思考の延長線上にあるのだろう。「オウム真理教」事件で追われたTBSワイドショーのスタッフは、決して消滅したのではなく、他の番組制作の中に浸潤拡張したにすぎない。やっぱりTBS!
お世辞にも美男子とは言えず、へびやとかげが好きだという、ちょっと変わったセンゴク先生は、この番組で明快・痛快なコメントを述べていて、私はファンになっているが、今回の番組内容をどう評価するだろうか?
少々やばい記述があり、一部修正1997.11.26


1997.11.19.

クローズアップ現代「長野五輪・迷走する滑降コース」、とその関連番組

この後の時間の某ニュースステーションでもこの話題を放送していた。概してテレビは滑降コースの引き上げ論に好意的である、特に民放は。たぶん、連中は放映権やら視聴率やらをまず第一に考えているからだと思う。(別の民放スポーツ番組はもっと露骨だった)
何年も前から議論していて、未だに決着がつかないのか、と某キャスターは言っていたが、誘致が決まった時点でコースは決まっていたんじゃあないの?そこにスキー連盟のだれとか会長さんが文句をつけてきて、そのためにゴタゴタしてるんでしょ。番組に出て来た元スキー選手の意見によれば、90秒(1分30秒)の競技時間は短すぎるから100秒かかるようにしろ、ということらしいが、ホントに選手の大部分がそう考えているの?だれとか会長さんは42.195kmのマラソンを30kmでするようなものだと言っていたが、ちょっと計算が違うんでないかい。
一般のスキー客が滑っているところをなぜ使わせないんだ、という意見に対しては、前述の「某スポーツ番組」が解説を加えていた。環境保護法(というような法律だったと思うが正確な名前は忘れた)が出来たのがスキー場が既に存在している時であり、いわば既得権としてスキー場が運営されているらしい。(これは私の独断の想像だが、公園の範囲を決める際には既設の設備を避けて線引きがされたのではなかろうか)ただし、それ以上の施設は公園内には造らないようにしようという決意があるのだと思う。滑降コースを設定するとなれば、ただ赤いテープを張るだけでは済むまい。防護ネット用の杭を打ったり、その工事用の足場を造ったりするのに、公園内の土地に全く手を付けずに出来ると思っているのかい、「某キャスター」さん。自分に都合のいいときだけ口先だけの「環境保護」ではいけませんよ。


1997.11.14.

未来派宣言「世界の珍しい植物4000種を育てる男」

稀少な高山植物を、寒冷地の利で栽培繁殖させて販売するという青森県のバイオ会社を紹介していた。人工的に増やして広く売ることで盗掘を減らし、ひいては自然保護にもつながる、という。まあ、それは二次的な効用であろうが、植物の価値を見直すという点からは評価したい。私は、これからの花形産業は農学関連であると思っている。環境保護、食料確保(しばしばこの両者が競合することさえあるが)など、今まで(例えば)ラジオ・テレビや自動車を造るために犠牲にされてきた、さらに本質的なモノの回復に、もっともっと農学関連の産業や学問が盛んになって欲しいと願う。(ビル・ゲイツが世界のバイオ会社を買収する前に・・)


1997.11.14.

ドキュメントにっぽん「巨樹2000本の旅」

日本中の巨樹を探し歩き、その絵を描いている平岡さんの生活を追った作品。ところどころにNHK風の脚色がうかがわれたが、許容範囲内でしょう。
私もこんな生活をしてみたいと、うらやましく思いながら見た。今でもときどき新聞のチラシ等で見かける「樹医」の通信教育を受けて、トラバーユしようかと思ったことも何度かあったが、結局果たせなかったなあ。


1997.10.08.

ETV特集「農業ビッグバン(2)農村をどう保全するのか」

丘陵地や平地が続くドイツの農村と、山だらけの日本の農村を比較するのは少々無理があるとは思うが、それはさておいても、農村、あるいは農村のある環境、に対するドイツの人々の気持ちと、日本人のそれとのあまりの格差に考えさせられた。いまや日本の農村は本当に壊滅寸前である。それに対する効果的な対応は殆どなされていない、と思う。銀行は大事にするが、山の農地はどうでもいいらしい。そして、そのような政策を大部分の日本人(都会人)は容認している。農地の保全の主張に対し、農本主義であると称して反論する某マスコミがあるようだが、土(必ずしも「=自然」ではない)を大切にしない国は、遠からず消滅するであろう。


1997.10.08.

たけしx世界バトル、ここがヘンだよ日本人

「外国人の目から見た、日本の常識」と番組紹介覧にあったので、T○Sにしては比較的まじめに文化比較をするのだろうかと思って、チャンネルを合わせたのが間違いだった。外国にまで行って、日本のTVの恥をさらすんじゃないよ!そこがヘンなんだよ。あーあぶないあぶない、目が○○○とこだった。

さあ、だんだんと色がついてきたぞ


また今夜も

「@@@@殺人事件」

ほんとは見てません。新聞の番組覧を見ただけです。
どこのテレビ局かは言わなくても分かってもらえるでしょうし、どこのテレビ局でもやってますなあ。人殺しの番組を創って、なにが楽しいんだろ。


1997.10.5.

NHKスペシャル「調査報告・ダイオキシン汚染」

非常に恐ろしい事実を知らされた番組であった。我々はこれを直視して、早急に対応をせねばならない。だが、番組を見た後、我々一人一人に自覚をもって考えさせる内容だったろうか。悪いのはガイドラインを示さなかった厚生省だ、野焼きをしている業者だ、廃棄物を増やしている建設業者だ・・・責任を押しつけて、不安だけを残したような気がしてならない。現在の状況を招いたのははたして、厚生省や業者だけの責任だろうか。快適・快楽を追求してゴミをどんどん増やしたのは、いったい誰なのか?!建設業者だけなのかい??
ゴミを減らすのが一番最初にやるべき事だろ。その点から、「(広域化して)ゴミ処理量が**トン以上の施設にしないと補助を出さない」という厚生省の方針は決定的に間違っている。また、自らのライフスタイルは変更しようとせず、末端の業者の責任のみを槍玉にあげるようなグループに私は賛同できない。
ところで、昼のワイドショー張りのあのおどろおどろしいバックグラウンドミュージックにはうんざりだ。NHKと言えども、このスタイルを抜け出ることはできないのか。「報道」の姿勢をもちょっと考えてほしいね。
問題はダイオキシンだけに限らない、フロン、トリクロロエチレン、有機スズ、etc.etc.・・快適な生活を得るために使われた物質が逆に生活を脅かす存在になっている。他にもこれから同じ様な物が話題に上ってくるのは目に見えているのだが・・・


1997.9.26.

金曜フォーラム

縄文の謎を語る・鹿児島・上野原遺跡シンポジウム

上野原遺跡で見つかった縄文初期の集落が、9500年前の、ひょっとしたら世界最古の文明跡であるらしいとか。古代史が書き換えられるかも知れないとの、熱気に満ちたやりとりを見ていると、こちらも何だかワクワクしてくる。その時代でのベストの生活を追求したであろう古代人の思考を、彼らの立場に立って想像する考古学とは、まさに人間学でもある、と感じた。古代の人々の生活は、毎日が真剣そのものであったろう、我々の想像もつかない感動に満ちたものであったかもしれない。そして、今の我々よりずっと創意と工夫に富んだ者がいた可能性があるのだ。


1997.9.14.

日曜美術館

最初は別のTV局の報道番組を見ていたのだけれど、某野球選手のホームランのビデオを本人のコメントと共に全部見させられる、と言う段になってチャンネルを変えた。だから最後の方をちょっとしか見てません。フランソワーズ・モレシャンさんごめんなさい。
百済観音像をルーブルに送るために、和紙と綿を使って梱包する場面を見た。国内第一号の国宝であり、それこそ細心の注意を払って梱包されているに違いないのだが、手際よくされていたので、それほどの緊張は伝わって来ない。しかし、梱包が完了した後で日通のスタッフが汗を流しながら「もうこれで仕事をやめたいほどです」と言った場面が印象に残った。プロフェッショナルの手際よい作業を見て、それがあたかも「誰にでも出来る簡単なこと」だと勘違いしている者の、いかに多い事よ!


1997.9.12.

海外ドキュメンタリー「気象の驚異(2)竜巻と雷の競演」

NHK教育TVでしばしば放送される海外ドキュメンタリーには良質の科学番組が多く、私はファンである。(逆な言い方をすれば、「日本の科学番組はもっとしっかりして欲しい」という意味でもある)
先週の第1回は、イントロ風でインパクトが少なかったが、今日は今まで見たことのない画像がたくさん出てきて興味深かった。落雷が、地球規模の連鎖反応で発生しているなんて知らなかった。落雷の際に、雲の上に「妖精」と称せられるプラズマの吹き出し(?)が見られるなんて初めて知った。スペースシャトルからの映像、雷雲の上を飛んで落雷を誘発するジェット機に取り付けられた高速度カメラの映像、貴重な実写映像が次から次に出現し、独りよがりなCGなんて全然出てこない・・これは、やはり制作者の自信なのではなかろうか。それにしても「トルネード・ツアー」とは・・・どこにでも、他人の災いに無関心な輩は居るのであって


なんだ、NHKしか見てないのか?って・・そうですよ。ほかのTV局で見たい番組なんてほとんどないですもん。万物創世記と、どうぶつ奇想天外(この部分訂正します。-- 前述)くらいかな。それに、最近見る時間がないけど、たけしのなんとか教育委員会も、(まだやってるよね?--終わってしまった!)まあおもしろい。なにが面白いかというと、理科系人間と文化系人間の興味と発想の違いがこれほど大きいのか、ということを回答者の答えと、自分との比較から実感できるからだ。我々の周りの連中からすれば「常識」と思うような事が全然知られていないのに驚いたり、逆に「へえ〜、こんな事が分かるの」と感心したりする。


1997.9.7.

NHKスペシャル「1000分の1ミリの戦い・技能五輪・技術立国再検への挑戦」

久しぶりに感動するTV番組を見た気がする。自らの技術を、より高めるために、努力している人の姿を見るのはとてもさわやかな気分だ。努力すれば、それなりの成果は得られるが、若いうちの努力は報われるものがさらに大きい。少し年寄りになって、最近その事を実感するようになった。刹那的な快楽のための情報が氾濫する今の世(Nippon)に、地道な努力を続けている若者の姿を見ると、本当に涙が出そうなほどうれしくなる。そして、今の自分を恥じて、私ももう少し自分の仕事を充実したものにすべく、工夫をすべきだと、反省した。.

 追;「技術立国再検への挑戦」というサブタイトルはちょいとよけいな気がする


こんなとこまで見てくれる人がいるかな〜